Team Rockロングインタビュー
取材者:Tom Bryant
翻訳:@postmcrjapan
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元マイケミカルロマンスのギタリストRay Toroがバンドの解散を振り返る、TeamRockにソロアルバムRemember The Laughterについて語る
マイケミカルロマンスが解散してからの3年間の間はGerard Way、Frank Iero、そしてMikey Wayが全員おのおのソロとして活躍。Gerardはソロアルバムリリース後、世界中をツアーして、コミック界へ。Frankはツアーしてない時はスタジオでレコーディングといっても過言ではないぐらい複数のプロジェクトが同時進行中。Mikeyは頻繁なコラボやElectric Centuryプロジェクトで忙しくしてる。
しかしバンドのギタリストRay Toroに関しては謎だった。ソーシャルメディアに出る回数は少なく、彼が作ってる音楽をたまに覗かしてくれるものの、姿をあまり見せずにいた。今まではね。
Ray Toroがマイケミカルロマンスの解散後どんな生活を送ったか知りたい人はその間ずっと制作していたアルバムを聴けば分かる。彼曰くRemember The Laughterにはルーズなコンセプトがある。中年の男が古いメモリーボックスを発見して、過去の愛と喪失を思い出す。しかし本当は彼がこの3年半送った生活についてのアルバムだ。〝時には―〟と当時のことを思い出すRay。〝ちょっと個人的になりすぎ、曝け出しすぎと思ったことも。その気持ちを乗り越えるしかなかった。〟
Ray Toroの熱意は昔から変わらない。彼はどんな話題でもワクワクしながら話す:前向きで丁寧、情熱的なんだ。しかしRemember The Laughterの話になると、それが誇りに変わる。アルバムはある意味で驚く。時にゾクゾクさせるギターソロが炸裂するものの、アルバムはPeter GabrielやPhil Collins、Gotye、The Carsにまで影響を受けて、Rayがシンスやストリングスも取り入れてる。フォーカスはソングライティングとサウンドの重ね、複雑なアレンジをシンプルに聴かせることだ。80年代のクラシックポップロックをアップデートしたような感じといってもいい。
〝違う段階をたくさん経た〟とRayが言う。〝アグレッシブな曲も書いたし、正真正銘のパンク曲とかも。でも今回のアルバムとここ3年半の自分の人生について伝えたかったことを考えると、今のアイディアがベストだと思った。〟
歌詞がマイケミカルロマンス解散後のRayの人生を語る。彼にとってはじっくり考える時期だった。妻との間で第一子(男の子)が誕生して、Rayのフォーカスが自分から家族へ。妻が修士号を取得するため大学に戻って、Rayが家で育児を。彼はその間、以前の生活について考えてたという。その結果、アルバムはそのコンセプトごとく、彼自身のメモリーボックスだ。
〝マイケミが終わってから、全てを振り返って違う観点から見ることができる〟という。〝解散直後はしばらく自分の感情を整理していた。自分が感じた喪失感を整理してたから僕らが成し遂げたことを懐かしく思う余裕がなかった。喪失感と傷ついた感情ばかりだった。〟
〝今は色々変わったから、もっと懐かしい気持ちで振り返ることができる。このアルバムはある意味でその全てについてだ。僕の過去3年間半の物語なんだ。〟
Rayのソングライティングプロセスはちょっと変わった場所から始まる。〝妻に笑われるけど、僕はお皿洗いとか床掃きや掃除機がけが大好き。やりながら無になれてボーカルメロディーが浮かんでくるよ。好きなものはスマホで録音してスタジオで朝3時、4時まで作業していた。〟
彼は自宅でアルバムをレコーディングして、使われた楽器もほとんど一人で演奏。ドラムはRayが基本パーツをレコーディングしてから元マイケミドラマーJarrod Alexanderが更に演奏。〝彼が叩いてると全てが良くなる〟とRay。作業が予想以上に大変で、曲を何回も聴き返して改善するところを探した。その甲斐はあった―何日も頭から離れない強いメロディーが盛りだくさん(特にオープニングトラックのIsn't That SomethingとブルースロックのWe Save)。その結果、聴けば聴くほど好きになるアルバムだ。
〝すごく反復的だった〟と彼。〝一人でやるのが本当に大変だった。エンジニアやプロデューサーがいないっていうことで、曲が十分かどうか自問する日々が続いた。〟
中では歌詞とボーカルのkとでもっとも苦労した。以前は詩を書くことがほとんどなく、ボーカルとしての経験もない。〝シンガーとして、持ってるか持ってないかだけだ〟と彼。〝そして俺全然持ってない。すごく苦労して頑張った。Gerardみたいな生まれながらのシンガーと一緒に仕事してると持ってないことを痛感したよ!ベストを尽くしたから人が気に入ってくれるといいけど。一緒にいる間はGerardからたくさんのヒントを得た。〟
彼は歌詞的にあらゆる書き方に挑戦した。メタファーを使って書こうとしたが、リアリティーが欠けてることを感じた。その代わりに彼曰く〝個人的な視点から曲を書くしかなかった。〟しかしそれが問題になる時も。
〝自分にブレーキをかけた時があった〟と彼。〝書いてる途中で「これって本心を曝け出しすぎてるかな」と思った時が。僕は基本的にプライベートな人間だけど、歌詞を書いたり歌ったりしてるとできるだけ自分を曝け出す時こそいい曲が作れる。ちょっと個人的になりすぎ、曝け出しすぎと思ったこともあったけど、僕は音楽を聴くとアーティストの本心が知りたいから、その気持ちを乗り越えるしかなかった。〟
アルバムにはRayの家族に関する曲がたくさん。〝Walking In Circlesは妻のことと、妻と一生一緒にいたいという気持ちについてだ〟と彼。〝Remember The Laughterは息子とどうお別れを言えばいいか、亡くなる前に何を伝えるかについて考えた曲。〟
〝妻とは世界の現状や子供をどんな人間に育てて欲しいか、息子が人とどう接して欲しいかについてよく話し合ったりする。その内容が全てアルバムに入ってる。〟
その結果、政治的な内容も入ってる。最近のTwitter投稿を見れば、Rayのトランプ政権への不安が明確だ。〝For The Last Embraceはニュースで見てることについて、そしてHope For The WorldはFergusonとそこの暴動について書いた。〟
Rayの幼少期もアルバムに。両親との関係も〝The Great Beyondは一人の息子が旅に出て、何年も親と話さない、そして実家に戻ると親ともっと時間を過ごせばよかったと後悔することについてだ。自分も同じ気持ちだよ、もっと親に感謝するべきだったと後悔してる。〟
母親については感情的に話す。〝家族の大黒柱だ〟と呼んで、母親からの誕生日カードでさえ涙を誘うという。〝母は感情を書いて表現した。僕も同じだ。言葉はあまり得意じゃないし、静かだし。でもこのアルバムは安心できるスペースで自分の考えを表現できる機会を与えてくれた。すごく自由になれるようなやり方だった。〟
マイケミカルロマンスの解散からポジティブなことがあるとしたら、キーメンバーの性格が表に出たことだ。Frankの音楽は彼と同じように直感的で心を込めた、その瞬間を精一杯生きてる。Gerardの音楽は静かに野心的でアーティスティック。Mikeyのはシャレてクールだ。Rayのアルバムも彼にそっくり:じっくり考えた、細かいところまで気を配る、そして控えめ。
〝Frankの方が一番分かりやすいと思う〟と同感する彼。〝最近出したアルバムParachutesは彼がずっと作りたかったアルバムだった。僕のアルバムにはちょっと驚く部分もあると思う。もっとギターが出るんじゃないかなと思っちゃう人がいるかもしれないけど、僕をよく知る人なら驚かないだろう。アルバムの音楽性にフォーカスした。僕はそういうことを大切にしてる、だからこそアルバムに入ってるんだ。〟
以前のバンドメイトにアルバムを聴かせて、意見を求めた。〝僕らはみんな連絡取り合ってるよ〟と彼。〝Gerardはこのアルバムに不可欠だった。彼とよく相談した。ボーカルにリアリティーがあったかどうかよく彼に聞いたし、いつも相談に乗ってくれた。〟
アルバムは11月18日に自主制作でリリース、そして現在は組んだばかりのバンドとリハーサル中。来年の頭からツアーを予定して、2017年の終わりにもライブを追加するという。
彼がバンドメンバーの中で最後にソロアーティストとして旅立つというのはなんだか彼らしい。静かで思いやりのある、几帳面なRay―全てが完璧になるまで時間をじっくりかけたメンバーだ。
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