Rock Sound: The Ressurectionist
記事:Rob Sayce
翻訳:@frankierojapan
〝未来のことか・・・〟フランクは深呼吸して指の関節で胸を軽く叩く。長い間のあとに彼はくすっと笑う〝正直、まったく分からん!とりあえず1日1日生きるようにしてる。だってそれしかできんけんね。俺らの人生って予測不可能・・・だからこそ音楽を作ったりまたツアーに出たりして自分の運命を自分で決める。自分の経験で定義されてたまるか。〟
人生は残酷で変わりやすいもの、そして一瞬にして全てが変わる。しかしこの事実をフランクほど知ってる人はいないでしょう。2106年10月13日、彼と彼のバンドThe Patienceが重大自動車事故に遭い、かろうじて生き残った。豪州シドニーで機材を下ろしてる途中でバスに追突されて元マイケミのギタリストとバンドメイトやマネージャーが巻き込まれて大怪我を。体も心も今現在回復中。ツアーライフを辞めるきっかけになってもおかしくないほどの大惨事・・・しかしフランクは辞めなかった。
〝回復って一直線じゃないよ〟と彼はいう。彼はエモベテランTaking Back Sundayと一緒にツアーに出て、5月のSlam Dunk Festivalに出演も発表されて、そして新EP〝Keep The Coffins Coming〟のリリースに向けて準備中。なのに彼が今後の予定を話すとなんだかまだ何もはっきり決まってないような口調だ。まるでこれが現実じゃないような。
〝渋滞にハマってふと窓の外に目をやると「この街に二度と来ないと思ったなぁ」ってなる時が。しばらくは平気で、でもその2日後は今までにないぐらい落ち込む。その時こそ、自分は本当によくなってんのか、この気持ちっていつか変わらんのんかと自問する。つらくて耐え難いプロセスだけど、強く踏ん張るしかない。前の自分にはもう戻らない。〟
〝しばらくは―少なくても2ヶ月ぐらい―音楽なんてもう無理だと思った。すると色々考え始めたけど・・・何も抵抗しないまま自分の好きことが奪われるって本当につらくて。俺が決めたことじゃなくて、ただ俺から無理やりに奪われるんだ。だから思った―このまま音楽が奪われてもいいのか?それともくそ怖いけどやってみて、まだプレイできるかどうか試してみようか?って。できるかどうか知りたかったんだ。でも復活ライブのステージに上がる前まではどうなるか分からんかった。最近はやっと調子が戻ってきた。〟
新EPのタイトルが事故のことを連想させるけど、フランク曰く事故の遥か前から決まったタイトルだ。アルバムは音楽の力へのカタルシス感満載でフィルターなしのラフな称賛。今じゃ特に痛感できるテーマだ。
〝今回のEPは(2014年の)StomachachesとParachutesの架け橋だと思う。Stomachachesのツアーの終わりにどうすればいいか分からずにいた。すると「じゃお前が何よりしたいことは?」って聞かれた。11歳の頃からSteve Albini(レコーディングエンジニア、NirvanaやHelmutなど)と一緒に仕事がしたかったけん、彼に連絡してみた。子供の頃に好きな女の子に「好きか嫌いか、ひとつ選んで」みたいな手紙を出すような気持ちだった。幸いSteveが好き!って選んでくれた(笑)〟
〝時には純粋に自分の刺激になる、自分の魂をワクワクさせるようなことをやるがいい。俺はトラックを借りてシカゴに行った。Steveのスタジオで数日寝泊りしてて最高に楽しかったよ。EPにはI'm A Messの初期バージョンやYou Are My Sunshine―子供の頃から大好きだった悲しい歌なんだけど、今は自分の子供に歌う曲だ―が入ってるよ。聴くとまるで俺らと同じ部屋にいるみたいだ。俺にとってタイトルはポジティブな意味合いを持つ。音楽作りの難しいところのひとつは作品を放っておくこと。諦めた曲を放っておかないと新しい作品が生まれない。次のプロジェクトにいけるようにその曲たちと一緒に過ごした時間に感謝することが大事。〟
次にいくって簡単に言えることだけど、実際にやるとなるとかなり大変だ。フランクは音楽に対していつもオープンで正直にやってる―彼と彼のバンドを苦しめた事故のことに対してもそう。簡単な答えなどないけど、彼らは前向きに進もうとしてる。
〝事故の途中で、俺はもう存在しなくなることを受け入れた。その時に思ったのは「子供たちの成長くそ見たかったな」。そこで俺の人生の一部が終わった。時には空気がより新鮮に感じたり、料理がより美味しく感じたりして、俺はここにいる意味があると感じる。またある時は「俺って本当は死体になって脳神経がわずかに生きてるだけ、それがこの現実を作ってる」と思うことも。だってそうじゃないって証明できんじゃろ?でもその事故への恐怖がすこしずつ減ってきてる。色んなことに慣れてきてる。〟
〝人生って山登りじゃない。てっぺんに着いて終わりとか、そんなんじゃない。頂上に着いたと思ったらまた次の山が見えてくる、もっと高い山が。俺は登り続けたい、それ以上は望めない。もう十分だって満足なんかしたくない。〟
複雑で予測不可能―準備万端の時でもツアー生活は大変で誰もが疲れる生活だ。バンドのスケジュールがすごいスピードで埋まっていく中、詰め込みすぎることを心配してないのか?
〝今はちょっと圧倒されてしまいそうだね。こんなにもたくさんの素晴らしいチャンスを与えられてさ、断りたくないよ。去年の事故のあと、全てがすごくむなしく感じたせいか、今はどんなチャンスでも捕まえたい。ちょっとやりすぎじゃないかって言われたらそうかもしれんけど、でも俺は恐怖を感じさせてくれる、生きてるって実感させてくれることがしたい。〟
彼は笑って、肩をすくめる。
〝その後のこと?さぁな・・・〟
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