翻訳:@postmcrjapan
マイケミが最後のアルバム(2011年のデンジャーデイズ)をリリースした時は、リーダーgerard wayのクリエーティブエネルギーがもう、何も残ってなかった。
2013年になると、アンブレラアカデミーの原作者としてeisner賞受賞したwayの鬱病、そして酒依存症が再発し、自分と自分の家庭を救うため、12も続いたマイケミを解散することになりました。芸術大学のころに大好きだったブリティッシュポップとシューゲイズを再発見して、ギターサウンドをメインにしたアルバムhesitant alienでソロデビューを果たした。37歳になったwayはかつての元気を取り戻し、その元気が曲「bureau」【局所】や「millions」【数百万】にもにじみ出て、「drugstore perfume」【薬局香水】はフィル・スペクターちっくで、デビューシングル「action cat」【アクションキャット←あえてそのままw】がジョイディビジョンらしい強いベースと手拍子、そして山ほどのリフでできている。途中でロスから離れることも考えたという。「でもロスから離れずに(家族として)乗り越えてよかった」とwayが話す。
purevolume(以下PV):(漫画)アンブレラアカデミー(以下UA)の著作権はすぐ購入されましたよね?
gerard way(以下G):そう!不思議だったよね。漫画家gabriel baと一緒にUAがeisner賞を受賞してから1週間、dark horse(UA出版社)に通じてユニバーサルが購入することが決まり、色々話が進んだりしたけど、最終的には(ユニバーサルに)手放されたから、フリーに戻った。
PV: 「bureau」はきびしいエンターテイメント業界について書かれた曲ですが…
GW:そのとおり。ハリウッド、音楽業界、映画業界、ビジネス全般についての曲だ。最初は「the business」ってタイトルつけたが、ほかの好きなバンドにちょっと似すぎて、「bureau」に。アーティストとしては危険な落とし穴がいっぱいだ。好きなことをやって儲かるのはいいけど、どこまでやっていくのか気をつけなきゃね。アートを作るのが唯一の取柄だったら、作り続くことが大切だ。そしてもし誰かが(自分が)作ったモノをベースにして何かをプロデュースするなら、それはそれで嬉しいけど、最終結果ではないことをすごく早く学んだ。
PV:ほかに学んだことは?
GW:僕だけかもしれないけど、作っているアートが純粋で、そして自分が強く信じているものであれば、ほとんどの場合はうまくいく。しかしこれどうかな、うまくいくかな?とか、こんなアートを期待されてるんだろうな~とか考え始めるとうまくいかないんだってことは(音楽、漫画の)ビジネス側から学んだことだ。後はみんながみんなでVMAなど大きなイベントや会場で「輝く一瞬」がやってくるけど、そんな瞬間がすべてではないし、なくてもアーティストとして存在を維持できる。アメリカではMCRの人気が薄れてきたけど、それでもleeds and reading(イギリスの音楽フェス)で70,000人の観客の前でトリを飾ることだってできた。だから旬じゃなくてもまだ大きな影響を与えることができる。旬の時は「これだ。これが終わったら、もう影響なんてなくなる」と思ったりするけど、いつか気づくんだ。信じてるアートを作り続けば、その影響はなくならないんだ。まじめに仕事に取り組んで、アートをちゃんとリスペクトして大事にすれば、逆にアートが大事にしてくれる。
PV:「冒険すれば、必ず何かを得ることができる」ということわざがありますが…
GW:本当そうなんだよ。特に自分のアートを出す時にね。言いたいこととかあれば、独り占めしない、タイミングなんか待たない、とりあえず出せ!僕がeisner賞をすごく受賞したくて、その気持ちをすごく出してきた。口では言わなかったけど、その受賞したいエネルギーみたいなものをとにかく出したらそれが報われたかのようになんとか僕とgabriel baが本当に受賞したよ。だから既にポジティブエネルギーを出すのが大事だ。
PV:深く落ち込んだ時期もありましたよね。クリエーティブな思考態度の持ち主によくあることですが…
GW:薬物や酒が僕にとっては学習過程の一環だった。アートと薬物を分別できるようになったら、お互いが完全に別々の存在ではないことに気づいた。薬物と酒が人間としての学習過程の大きな一環だったね。そして幸い、その過程に殺されなかった。たくさんのアーティストが命を落としてきたからね。本当、乗り越えてラッキーなんです。その経験はアーティストとしてうまく使えたけど、アーティストへの道の一部だったのか、必要だったのか、まだ分りません。
PV:「このままじゃだめだ」と気づいたのはいつだったんですか?
GW:意外にシンプルだった。僕自身はメンタルなアンバランスがあって、重度のうつの時期と、極端なマニア(躁状態)の時期がある。薬物がそれを悪化させるだけ。ある日一晩中薬物を乱用して、もう気持ち的に今まで一番どん底だったその時、「もう終わりだ、辞めなきゃ」と思った。すごく静かな目覚めだった。
PV:それでも「black parade」や「danger days」みたいな壮大なコンセプトアルバムを作るのは大した物ですよ。
GW:すごく楽しかったですよ。つらい時でもそうだった。アイディアを壮大なスケールで伝えようとすると、どう戦っていくのか、どうやって伝えたいことを伝えていくのか、考えるのが楽しいですね。だけど今回はコンセプトがない。衣装もストーリーも、何もないわけ。だから楽器の音で表現するしかなかった。音こそが今回の真のコンセプト。
PV:(今回のアルバムは)blurなどのブリティッシュポップバンドにインスパイアされたと言いましたが、smashing pumpkinsのサウンドも目立ちますね。
GW:そりゃそうだ、ファズペダルを使ってるからね。アルバムのメインのファズペダルはロシア製のsovtek bigmuffだけど、pumpkinsも同じメーカーのヴィンテージモデルを使用してた。音はヴィンテージとはちょっと違うけど、ペダルは同じ。(pumpkinsの)siamese dreamにもファズが多いし、mellon collieのコンセプトやビジュアルにもすごく影響されたしね。あの時、音楽シーンがすごく楽しかった。pumpkinsは観ても聴いても本当すばらしかった。ファンでいられて幸せだった。
PV:アルバムには「maya the psychic」【霊能力者のマヤ】という曲がありますが、霊能力者に相談したことは?
GW:ないですね。精神病について、そして何よりも幻聴が聞こえることについて書いた曲だ。精神的に乱れてて、実在しない声や音が聞こえてくるけど、僕にもそういう経験がありました。治療中にはなんだか霊能力者に似てるなと思って、そういう感じの曲になった。でもロスにも影響されてるね。ここには霊能力者が多くて、自分の人生を霊能力者に託してる人だっている。「ビッグになれるのか?僕の人生ってこれからどうなるのか?有名になれるのか?」とかね。ちょっと悲しいけど、そういう文化があるよね、ロスに。
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