2016年9月10日土曜日

【MCR】AltPress' The Black Parade/Living With Ghosts Preview

The Black Parade/Living With Ghostsプレビュー


英文はこちら


記事:Cassie Whit, Jason Pettigrew
翻訳:@postmcrjapan

待望の2006年アルバムThe Black Paradeの再リリースThe Black Parade/Living With Ghostsが出るまであと少し。9月23日リリース予定のアルバムにはマイケミがアルバムの作曲と録音のために引っ越したLos AngelesのSilverlakeにあるParamour Mansionで録音されたデモとリハーサルの音源が収録された2枚目のCDを含む。そのリハーサルと作曲セッションではプロデューサーRob CavalloとエンジニアDoug McKeanも一緒に参加して、プロセスを記録するため全ての段階を録音した。録音されたテープからLiving With Ghostsに収録されてる11トラックが選ばれた。


〝俺の仕事の流儀は全てを録音すること〟とCavalloが言う。〝The Black Paradeの場合、Dougに小さなPro Toolsパネルを作ってもらって、そしてそれに6~8本の良質のマイクを繋いでもらった。色々試した間にクリエイティブプロセスがどうなってるかすごく伝わるよ。曲は全て初期段階で収録されてる。〟Ghostsの音源はポストプロダクションで修正されたものではないとプロデューサーが付け加える。テープはすべてボリューム調整のためにマスターされたが、理由は〝音が無気力に聴こえないためだった。俺らが聴いたままファンに届けたいと思った。録音は8~10日間でやった。アルバムに入ってる11曲は23曲から選んだ。400時間もの収録があると思う。こんなの400時間も聴きたい人はいるか?(笑)でもマイケミが最終的に正しい選択をした。〟

400時間も聴きたい人はいるかと問うCavalloさんに言いたい。ファンなら誰もが聴きたいに決まってる。Living With Ghostsは今までアクセスできなかったマイケミのクリエイティブプロセスを我々ファンに覗かせてくれる。作曲プロセスの謎のベールがやっと脱がされる。バンドの音楽に感情移入してるファンが多いため、こうした初期段階の公開はよくないと言う人もいるかもしれない。こうしたファンもいるけど、曲の本当の意味やインスピレーションを精神分析したい、理論立てたいというファンも大勢いる。マニアにとってはこのアルバムで明かされるラフとファイナルの違いがきっと楽しめるでしょう。

謎に包まれたこの世界に入ると真っ先目立つのは最終レコーディングにないパターンの数々だ。例えば最終的にアルバムに出ない女性キャラクターが数人いること。そしてGhostsに際立つ重苦しい見捨てられた感もアルバムの完成版にほとんどない。

House of Wolves (Version 1)がその重苦しい曲のひとつ。曲自体は音的にも歌詞的にも何の違和感なくThree Cheers for Sweet Revengeに入れたんだろう。このバージョンならDemolition Loversから始まったストーリーを終わらせることができる。曲中にGerard Wayが泣きわめく〝ここにおいて行かないで/どこにも行かないで/このハウス・オブ・ウルヴスで死なせてくれ/俺の魂のために祈ってくれ。〟The Black Paradeリリース前のバンドのイメージとして知られたカトリック教徒的表現に包まれた悔恨への執念が健在。しかしバージョン2が完成された曲とほとんど同じ。(〝なんで同じタイトルの曲が2つあるのか分からなかったよ〟とCavallo。[Ray ToroとFrank Iero]のアプローチはまったく違ったからこそバンドが目立つ存在に。ギタートラックをひとつずつ聴くとお互いにぶつかり合うことがよく分かるよ。〟)そしてバージョン2にはファイナルバージョンにない毒が。〝地獄で燃えちゃうだろ/I think I'm gonna burn in Hell〟ではなく、〝お前の地獄で燃えてる姿が見たい〟とWayがうなる。

その怒りはアルバム中にある。特にKill All Your Friendsのラフに。最終的にB-Sideに収録されたKill All Your Friendsの歌詞がもっと激しく、そして小さな町の考え方への憎しみが目立つ。(曲の最後に連呼される〝生きたまま連れて行くことができない/You'll never take me alive〟が元々〝一人で連れて行くことができない/あんなとこに無理矢理帰すことができない〟だった。)作曲が進んでいくと曲のコンセプトがだんだん抽象的になっていくことがよく分かる。以前では違和感を感じたメロディーや音もだんだん馴染んでいく。

そしてうまく溶け込めなかった曲もある。Party At The End of the Worldがそのひとつ。ファイナルアルバムに入るほどの華麗さとガッツがなく、ただの曲だ。マイケミの曲はただの曲なんかじゃない。Not The Kind of Girlもカットされたが、部分的にはアルバムConventional WeaponsのGunに使われてる。

一方でAll The AngelsはThe Black Paradeに入ってもおかしくない曲だ。〝テーマ的に合ってたけどなぜか最終的にカットされた〟とCavallo。Cancerに似てるようなゆっくりとした盛り上がり、そしてリアルに死を語る曲だ。しかし曲はCancerにない力強くて繰り返されるフレーズがある〝全ての天使が言う/お前らみんなのせいだ/全ての天使が言う/お前らはみんな同じだ。〟悲しみとキャッチーさが手を組むとその結果は頭から離れない曲ではなく、耳にしがみついて放してくれない曲だ。

アルバムのレコーディング中の闇を象徴する曲があるとしたらEmilyだ。Danger DaysのBulletproof HeartのようにEmilyは行方不明の人をテーマにしてる。しかしアップビートさも気軽さもない。聴くだけで背筋が凍りつく。この曲は間違いなくマイケミの最も暗い曲だ。しかし曲の思い出はそうでもないとCavalloがいう。〝すごくいい曲でこのままみんなに届けることが出来て嬉しいよ。当時の雰囲気を味わってもらうことはこのアルバムの目的だ。元マイケミメンバーがこれを聴きながら思い出話をするんだろうな。ファンもきっと同じことがしたいんだろうと思った。マイケミは色んなことと戦った素晴らしい青年たちだった。相性がすごかったよ。偉大なロックンロールをレコーディングすると、その相性は骨の髄まで実感できる。〟

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