2016年10月20日木曜日

【Frank】Rock Sound: The Man Who Fell To Earth


地球に落下した男


取材:Mischa Pearlman
写真:Justine Trickett
翻訳:@frankierojapan


新アルバムParachutesでFrank Ieroが今まで以上に深く掘り下げて自分の心をさらけ出した。長くて大変な道のりだったが、忍耐は美徳と言うよね・・・

Frank Ieroは慌しいヨーロッパー旅の真っ最中だ。昨日はパリ、今日はロンドン。そして明日はアムステルダム、その次はベルリン。各都市で少人数のアコースティックライブを開催して、そしてところどころでファンとのQ&Aも。たった4日間なのに、彼がマイケミカルロマンスの一員として世界を支配した日々を思い出させるでしょう。

しかしFrankは以前のバンドとツアーしてない。ポストMCRプロジェクトと2014年のデビューアルバムStomachachesのフォローアップとして彼は戻ってきた。そして今回はプロジェクト名をfrnkiero andthe cellabrationからFrank Iero and the Patienceに改名。

〝Stomachachesの場合、自分に必要だと思ったものにちなんだ名前にした〟と漆黒のブラックコーヒーを片手に彼は説明。今日の会場兼教会は角を曲がってすぐのところにある。〝当時はフロントマンとしての役割に違和感があって、cellabrationと一緒ならそれがもしかしたらバレんかなと思った。今回は新たに自信が芽生えたようで観客の目をひくようなものはもう必要ない。ソロレコードじゃけん俺の名前がついて当たり前だけど、俺のニーズによってバンド名は変わる。今の俺に必要なのは一歩下がってみること、今この瞬間を大切にすること、そして忍耐という美徳を大切にすることだ。〟

彼は自分の言葉に納得したかのように小さくうなずき、コーヒーを一口飲む。

〝俺の意見なんだけど、アルバムごとにスタジオで生まれ変わらんといけん。前やってきたことを全て破棄して新しいスタートを切る。バンドについて分かったと思ったことを全て変えんと。〟

Frankを始め、ギター/ボーカルEvan Nestor、ドラム/ボーカルMatt Olsson、そしてベースのAlex GrippoがParachutesでそのとおりにした。アルバムは自身に満ちてるが生々しい、キャッチだが意図的に不安定なパンクロック。アルバムは観客との距離を全てなくしてStomachachesをリリースしてからの間でも彼がどれほど人間として成長したか明らかにする。

心を込めた啓発的な曲が確かに自信を持って現在のことを思案するが、その視点は哲学的と同時に個人的なんだ。

〝俺が思うには、〟と説明し始めるFrank。〝パラシュートなど救命道具というのは安定させるもの、例えば大切な人や情熱を感じさせるもの。これらがあるけんこそ落下とそのやがて来る地面衝突が怖くてたまらんじゃなくて、楽しめるんだ。当然の結末は避けられん。やがて死が訪れるんだ。人生に避けられないものがふたつっていうよね。死と税金。だからこそ俺らが途中で見つける周りのものや人に感謝しなきゃ。〟

彼にぴったり、ハロウィンにある35歳の誕生日が近づく今、Ieroは10年近く結婚していて子供も3人いる。それとマイケミカルロマンスの凄まじい商業的成功を考えると、彼は人が羨むような人生を歩んできた。だからといって彼は人が誰しも経験するメンタルとエモーショナルな苦闘から免れることはない。

Parachutesで彼の苦闘が聴こえるだけではなく、Frankと一緒に経験するんだ。リスナーに彼の脆弱性が伝わって共感が生まれる。トラック〝9.6.15〟の場合は特にそうだ。 

〝祖父についてだ〟とIero。〝そして俺が書いた中でもっとも大切な曲のひとつだ。歌詞を読むと泣かずにはいられん。あの曲はもう2度とプレイできるかどうか分からん。バンドと練習したことあるけど、ライブでやるなんて怖くてさ。でもやってみたいよ、祖父のために。だって祖父のことを考えない、会いたくない日は一日もない。どうか祖父がどこかで俺のやっとることを見て誇りに思ってくれとるといいな。自分がやること全てを祖父と比較してしまう。祖父ならどう思うじゃろ?って。祖父は俺の全てだったけんそうしてしまう。祖父ほどの男にはなれないことは分かっとるけど、もし祖父の4分の1ほどになれるなら、そう思ってもらえるなら、それ以上の成果は求めない。〟

その感情がParachutesの中心的テーマになってる。Frankが死への恐怖に悩ませてるというわけではなく、やることをやらない恐怖、人間として、夫として、父親として、そしてファンの手本としての期待に応えられない恐怖だ。前からあった恐怖だが、近年ではより明確になったという。

〝俺はずっと人生の儚さに気を取られてた。ここにおる時間は限られとる。俺がこの世を去ってからも俺の大切な人が俺のことを忘れないでくれるようにここで頑張りたい。俺の大切な人が俺のことで悲しんだり、動揺したり、思い悩んだりして欲しくないけど、それと同時「寂しがってくれるといいな、時々俺のことを思い出して笑ったりするといいな」とちょっとうぬぼれた自分もおる。〟

こういう感情はParachutes以前にもFrankの心の中に存在したのは明確だが、プロデューサーRoss Robinsonの手によってFrankの感情が増幅、精査、生き生きさせてから死ぬ間際まで叩きのめされた。Robinsonは一緒に仕事するバンド(SlipknotやFirst To Last、Kornを含めて)を闇に連れ込むことで知られてる。Frankのバンドも例外ではなかった。

〝このアルバムはRobinson以外じゃ作れんかった〟と半笑いしながらFrankが言う。〝自分を含めてあれほど人に限界まで追い込まれたことはない。自分が自分の最も厳しい批判者だと思ったのにさ!本当、毎日は腹が痛くなるほどしんどかったわ。彼は自分のプロセスをメンタル手術だと言うんだけど、全ての曲と全ての歌詞を一緒に見てからどういう意味とその理由について話し合っていく。そして彼の質問に全て答えたと思ったら、全てを180度ひっくり返すような質問をするんよ。そこから新しい発見をする―自分はなぜその気持ちでいるのか、その曲が自分に何を意味するのかとか。そうすると自分のことについて色々気付き始める。辛くて苦しいプロセスだけど、終わったら達成感ある、刺激にもなる。〟

そのカタルシスと勝ち誇った達成感がアルバム中に聴こえる。まさに人生とアートが衝突するサウンドだ、アーティストとしてもしかして始めて全てを理解するように全てを受け入れるためのパラシュートが開く音だ。簡単ではなかったかもしれないが、その甲斐は確かにあった。

〝プロセスを考えるとさ、何が求められたとか、自分の苦労とか考えると、果たして2度とできることか?と思ったけど、そうじゃなきゃどうやってアルバムを作るの?という答えにたどり着いた。ばかげてるよ、ほかの方法じゃ。〟

我々はみんな落下してるかもしれない。しかしFrank Ieroは他と比べて降下中に何か成し遂げようとしてる。

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